イラン旅行記5日目 | moskomule log

イラン旅行記5日目

Yazd

Yazdに着いたのは4時半頃であったが,バスターミナルには既にたくさんのタクシードライバーが客を待っていた.同じバスにいたロシア人とドイツ人と,こんな早く着くはずではなかったのに,と愚痴をこぼしながら中心部まで行って宿を探すこととなった.

このロシア人はEsfahanで財布を落としたのだが,ホテルの係員に相談したところ新聞広告を載せることとなって,結果的に広告料を払うだけで財布はそのまま還ってきたという.「そのせいでYazdに来るのが一日遅れたんだけど」とタクシーの中で話していた.体感の治安はかなりよいのだけれど,そんなこともあるのかと驚いた.

早朝のYazd旧市街中心部.鶏すら啼かない.

旧市街の中心部に着いたが,まだ朝も早いのでどうしようもない.とりあえずドイツ人が戸を叩いたhostelにコタツのような保温装置があって,彼らと宿主と一緒に横臥した.

夜が明けてから宿を探し始めたが,ちょうど観光シーズンで空いている場所がなくて難儀した.結果的にはKohan Hotelというhostelに辿り着いた.ここは伝統住居を活かした作りで,中庭にはrestaurantがあり,2階は1室20床近いbedが並ぶhostelになっている.屋根が天幕になっていて暑さを避けている.

中庭.イラン人の観光客も大勢訪れていた.

とりあえず行動を始めたもののひどく暑い.加えてちょうどAliの祭日の最も盛り上がる日だったようで,みなmosqueにいるのか,家にいるのか,中心部を離れると人影が少ない.

Yazd.国内の観光地,という感じがした.

風を集める装置.Kashanから見かけてはいたが,Yazdは南にあり暑いためかより見かける頻度が高い.

このmosqueもAliの祭日のために入れず.多くの観光客が落胆していた.

Yazdに来た以上,拝火教寺院,Zoroasterの時代から受け継がれたという火を見ようと寺院の方へ歩いて行くことにした.途中何度もタクシードライバーに声をかけられたが,現金も減ってきたので,間に合っているよ,と返した.灼熱の中歩き続ける観光客を見て呆れたような表情を浮かべていた.観光地なので両替商くらいあるだろうと考えていたが,祝祭日に加えそもそも両替商自体が少ないようで,この現金の不足にはしばらく苦しめられることとなる.

広場.イベントはここで行うらしい.

錯視のような感じもする.

街を歩いていると,いつものように「どこから来たの?」と聞かれるのだが,Yazdでは「ドイツ人?」と訊かれ,果ては「イラン人?」などとも訊かれる始末.これが冗談なのか本気なのかは分からないけれど,Yazdには国内の観光客も多く,イランは多民族国家ということもあってさまざまな人がいるので仕方ないのかもしれない.「日本人だよ,ペルシャ語分からない」というと笑われた.

国民を表すときには大体国名の語尾が“ī”で終わって,日本人なら“Jāponī”,イラン人なら“Īranī”などと言うらしいことは段々察しがついてきた.

スマートフォンに興じる親子

Google Mapに,ここにもZoroaster教関連の遺跡があるよ,と言われ辿り着いた先.

写真の建物の地下に降りる階段があり,初めはそこだけが開放されていたので地下で涼んでいたところ,門番の翁に,上から「おーい,日本人」と声がかかった.暑い世界に戻ると,ペルシャ語しか話せない翁は,附いて来い,と言っているようで,追いかけていく.そうすると,写真の施設内に入れて貰えた.如何せん,翁とは「ありがとう」「写真を撮っていいか」「私は日本人です」くらいしか会話はできないので,何の施設かすらよく分からなかったのだが,稀人を歓迎する老人の気持ちには触れることができた気がする.

拝火教の施設?

いよいよ拝火教の総本山へ,と意気込んで行くと,昼休み中なので出直すことにした.ただ実は,この日はAliの祭日のみならず,国の祝日で実は終日休みだったのだが,このことに気付くのは3時間後に戻ってくるときである.

観光地らしいところで開いていたのはBagh-e Dolat Abadである.歩いて行くと少し分かりにくい.

もともとは地方領主の邸宅で,巨大な庭園と,建物がある.Yazdのほかの有名な施設は休みなので必然的に観光客が集中して,フランス人の老人が2,30人程ツアーで訪れていた.

塔が富の象徴で,かつては幾本もあったらしい.

庭園には噴水と木々があって,Fin Gardenにも似た感じである.領主がいた時分には,木々が生い茂っている,ということが権力を表していたのかもしれない.

外観

建物には吸風塔というのか,例の塔があるので涼しい.窓はステンドグラスで,対称な幾何学模様に目が眩むのだが,これは富の象徴でもあるのだろうが,虫除けの効果があるらしい.mosqueや大きな邸宅にはこのようなステンドグラスが見られることが多い.往時は室内にも噴水があって更に涼しかったのだろう.

ステンドグラスは虫除けの意味もあるらしい

噴水は枯れている

天井,天窓も非情に緻密

Yazdは今まで行った地域と較べると蠅のような虫が多い印象であったので,ステンドグラスに虫除けの意図があると聞いたときには,なるほどと思ったが,虫の少なそうな北の方に行った際にも見かけたので,やはり機能は除虫だけではないのだろう.


Zoroasterの神殿に行こうと歩いていると,小さなmosqueがあった.入り口の老人に入ってよいかを訊ねると許可が出たのでいれて貰った.大きなmosqueには入れないのだが,こういう小さい場所では問題がないらしい.

入り口に少女がいて,ちょうど祭日だからなのだろう,パンとチーズを呉れた.英語で話しかけてきたのだが,パンを鞄にしまっている間に恥ずかしそうに走って行ってしまった.ほかの少女も,祭日だからこんな感じだけれど,と言って向こうに行ってしまった.

彼女たちは英語が流暢で,きちんとした英語だったので,イラン人男性の訛りのある,勢いに任せた,“how are you”,“where’re you from”に慣れていた私には新鮮な驚きがあった.男性と違って,英語が話せるから英語で話す,というバイアスがあるのかもしれないが,女性の方が英語が上手な印象である.

祭りの準備が整った様子.

先ほどの広場.レスリング大会をしていた.

暑くてくたびれてしまったので,hostelに戻って休んでいると,同室の人から夕食に誘われたのでのこのことご相伴にあずかってhostelの1階で,イランの伝統的な料理を食べた.はじめて駱駝をハンバーグとして食べたのだけれども,スパイスもきいているのかもしれないがジビエの美味しさであった.仕事を辞めて6ヶ月間アジアから西に向かって旅をしている,ベルギー人のカップルの話が面白かった.時折相談しているときのFlemishが不思議な響きであった.

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